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パートナーの積がいない放課後。
お見舞いに行きたいけれど、色々と雑用があるわけで…。 ①夕輝先輩の練習に付き合う ②聖夏先輩の用事を済ませる ③迷うことなく可憐を身代わり * * * リンク機能を使うと、AVGの選択肢っぽいこともできるねぇ。 AVGというよりは、ゲームブックっぽいけれど。 ネット・ゲーム・ブックとか作ってみると面白いかもしれない。 物凄く地味だけれど。 それ用のシナリオを何か書いてみようかな? …こうして『ひとめぐり。』の完成が遠のいていく…。 書いてる途中でキャラの名前が分からなくなる事が多々あるので、
登場人物表を作って整理。 ついでに、読み仮名も。 とりあえず、四話までの登場人物を表記。 これで全員というわけではないので、 話が進むごとに増えていくかと。 初級シスアド、出願するのをすっかり忘れていて、 気づいたのが締め切りの翌日とか。 仕方が無いので、漢検のほうに全力を。 「胡」は一文字で「あごひげ」と読むらしい。 「今日から胡を伸ばす」とか。 流石、準一級から上は別世界だな。 佐久良木 積(さくらぎ つみ)
佐久良木 加菜(さくらぎ かな) 祭島 可憐(さいじま かれん) 祭島 詩歌(さいじま しいか) 春雨 継(はるさめ けい) 佐久良木 夕輝(さくらぎ ゆうき) 近野 聖夏(こんの せいか) 枢貴 つづく (すうき つづく) 穂積 ゐよ (ほづみ いよ)
今回は短め。
だけど結構時間掛かったり。 もうちょっと集中力付けないとダメかな。 さて、晩御飯食べて、漢検の勉強しないと。 準一級は、流石に難しいし。 <今日の読書> 『クレオパトラの夢』 恩田陸 誰かに呼ばれた気がして、目を覚ました。
「お、やっと起きたね」 目の前・寝ている私を覗き込む、髪の短い女の子。 「…何だ、夕輝か」 「そう、私は佐久良木夕輝。で、君は近野聖夏。そして、今は夕方」 「…夕方?」 夕輝がベッド周りのカーテンを開ける。 窓の外、山の向こう側へ沈もうとしている夕日が、保健室の中を赤く染める。 「うわ、本当に夕方だし…」 「うん。だから、そろそろ起きてよ。玄関閉めるって、さっき先生も言いに来たしさ」 「ん、分かった」 長い時間眠り続けていたせいで、頭が何だかぼんやりする。 そんな気だるさを振り払うために、軽く頭を振る。 「制服のまま寝てたの?シワになるよ」 「別にいいだろ。どうせ今日から春休みだし」 「まぁ、そうなんだけどね。はい、鞄」 「ん、ありがと」 ほとんど何も入ってない、やけに軽い鞄を受け取る。 「終業式はどうだった?」 「別に、特に何も変わったことは無かったかな。一年の女子が一人、体調不良を理由に保健室で夕方までサボってた以外には」 「何、そんなヤツがいたのか?」 「うん。全く、何を考えてるんだか」 やれやれ、と大げさな身振りで肩をすくめる夕輝。 「まぁ、そう言うなよ。そいつにもきっと、終業式を休むだけの理由があったに違いないんだから」 「理由、ねぇ…どんな?」 「そうだな、例えば…」 「例えば?」 「体験入部の打ち合わせに行った友人の家で、先月発売したばかりの新作RPGを見つけて、」 「その友人がまだクリアしてないのにも関わらず、勝手に持って帰って徹夜でプレイしてた、とか?」 「そうそう。やむをえない事情、ってやつだな」 「やれやれ、全く。早くしてよね」 「あぁ、まかせろ。一週間以内にはクリアするぜ」 「ゲームの話じゃなくて。そろそろ出ないと、本当に校門閉められちゃうよ」 「あー、はいはい、分かったって。そんなに急かすなよ」 椅子に掛けておいたコートを羽織って、ボタンを留める。 「んじゃ、帰りますかね」 「うん、帰ろうか」 カーテンを閉め、二人で保健室を一緒に出て、夕輝が扉に鍵を掛ける。 「鍵、職員室に返してくるから。先に行ってて」 「あいよ」 途中で分かれて、一人下駄箱に向かう。学期末には上履きを持って帰ることになってるから(美化委員の活動の一環。学期の終わりぐらい、ちゃんと上履きを洗えってことだろう)、下駄箱はどこもガラ空きだった。まぁ実際には、そんな決まり知ったこっちゃ無い奴もいるらしく、ちらほらと残ってたりする。私もそんな奴らを見習って、上履きをそのままにしておく。 「さっむ…」 外に一歩出て、思わず呟く。 三月ももう終わりだっていうのに、この山奥の村は、まだまだ寒い。 鞄の中からマフラーを取り出して首に巻く。 ついでに、隠しポケットから煙草とライターを、 「って、無いし…」 夕輝の奴か。アイツは、普段は結構いい加減なのに、妙な所で真面目だからな…。 吸えないと分かると、手持ち無沙汰になって、校舎の周りを散歩することにした。 流石に、終業式にまで部活をしているような奴らはいないらしく、辺りは静かなものだった。 あてもなくブラブラと歩き、校舎の南側に来た所で、 「…ん?」 一人、校舎を見上げている女の子を見つけた。見たことの無い顔…少なくとも、ウチの学校の生徒じゃない。彼女は、何故か胸に花束を抱いて、身動き一つせずに、じっと校舎を見上げていた。何を思っているのか、表情一つ変えず、静かに。 その横顔が、酷く悲しそうに見えて。 その目から、今にも涙が零れそうで。 思わず、何か声を掛けようと、 「あぁ、いたいた。ヒドイなぁ、人を置いていくなんて」 した所で、後ろから声を掛けられた。 「…夕輝」 「そう、私は佐久良木夕輝。で? どうしたのさ、こんな所で」 「いや…あの子が、さ」 「あの子…って、どの子?」 「ほら、そこにいる…って、え…?」 夕輝に話しかけられて振り向いた、ほんの少しの時間。その間に、女の子は居なくなっていた。 「誰もいないじゃない。煙草ばっかり吸ってるから、幻覚でも見たんじゃないの?」 「いや、煙草は関係ないだろ…って、それで思い出した。お前、私の煙草とライター返せよ」 「お、もうバレましたか。今回は気付くの早かったねー。はい」 そう言って、夕輝はポケットから煙草の箱とライターを取り出し、こちらに放り投げる。 「まったく、人のモノを勝手に持ち出すなよな…まぁ、私の健康を気遣ってくれるのは、ありがたいけどさ」 「んー、別に、君の健康はどうでもいいんだけどね。煙草が吸いたいのに吸えなくて、ソワソワしてる人を観察するのって、楽しいから」 「…もういい。お前、帰れ…」 「言われなくても帰りますよー…あぁ、分かってるとは思うけど、明日は新入生の歓迎会やるから。遅れないでねー。それじゃ」 ヒラヒラと片手を振って踵を返し、勢いよく駆け出す。学校から家までの約一時間、アップダウンの激しい道のりを、アイツは毎日あのペースで行き来している。 (そりゃあんだけ走れば、あの滅茶苦茶なスタミナも納得できるか…) 「…私も帰るかね」 夕輝から取り戻した煙草をくわえ、火を点ける。半日ぶりの紫煙を味わいながら帰ろうとした所で、 「…あ」 さっきまで女の子が立っていた場所。そこに、小さな花束が落ちていた。 (…幻じゃ、なかったか) そのままにしておくのも気が引けたので、拾って手にとってみる。遠くから見た時は分からなかったけれど、それは本当の花じゃなくて、プレゼント用の造花だった。 (そういえば…確か、小学校の卒業式は、今日だったか…) 花束を胸に抱き、白い息を吐き出しながら歩き出す。東の山から昇った月の光が、その吐息とも煙ともつかないモノを淡く照らした。 こうして、私と彼女の出会いは随分と中途半端なうちに終わり、翌日には早くも再会し、これから長く続くことになる奇妙な関係が始まるのだが、この時には勿論、そんな事を知るはずも無く。 ただ、少しでも早く春になればいいと。 単純に、そう願っていた。 ID忘れて更新ができなくなっていたなんて・・・。
コメント頂いた方々、ありがとうございました。 早速修正しておきます。 ちなみに、今回は結局、原稿は応募せず。 テスト終わったら頑張ろー、と思っていたのに、 学校が休みのほうが毎日忙しいという現実。 基本的に低スペックな人間なので、 バイト&検定の勉強だけでかなり手一杯だったり。 バイトでは不二家の問題で、しばらく返品作業が大変だったりした。 テレビの中の話題が、こうやって自分の生活に影響してくるのは、 なかなか新鮮な感覚。 社会って、ちゃんと繋がっているんだなー、と。 そういえば、2月7日に、二十歳になりました。 20年って早いなー。 少しは大人らしくならないと。 『ひとめぐり。』の3話目、ちょくちょく書いてます。 また新しい登場人物の一人称で書いてるのだけれど、 これがなかなか難しい。 ストーリー自体は出来てるので、 どう綴っていくかの問題。 もっと語彙力と表現力が欲しいー。 まぁ、こればっかりは、書き続けないと身につかないのかもしれないけれど。 久々だったので微妙に長くなりましたが、とりあえずこの辺で。 原稿用紙換算だとまだ40枚にしかなってなかったり。
文字数にすると16000文字とかだけど。 月曜日までに後60枚。 水はレポート、木は試験勉強があるので、 金・土・日でスパートを。 でも、3話までしか話を考えてなかったりするので (そのぐらいで100枚いけると思ってた)、 これから色々考えないと。 ブログにUpするときはwordからコピペしてるだけなので、 かなり読みづらい現状。 作業が一段落したら、 もうちょっと体裁整えないと。
十二歳になる男の子の友達に誕生日プレゼントを渡すことになった時、普通はどんなものを持っていくんだろう?彼の誕生日を間近に控えた私は、その事について、結構真剣に悩んでいた。
とりあえず、彼の趣味に合わせることにはしたけれど、その趣味が読書で、しかも私は本なんてほとんど読まなかったりするので、どうしたものかなー、という感じだった。街の本屋さんへ行って、適当に買ってきて済ませようかとも思ったけれど、彼は日頃からかなり本を読んでいるので(それこそ、暇さえあれば読んでいる、という感じ)、それだと、前に読んだことのある本をプレゼントしてしまうという、物凄く格好悪い事になってしまうかもしれない。そんなのは、嫌だった。格好悪いことは、悪いことだ。 まぁ、そんな感じであれこれ悩んだ挙句、最終的には何とか結論が出た。彼がどんな本を欲しがっているか分からないなら、彼と一緒に買いに行けばいい。ついでに、お昼御飯でも奢ってあげれば、いかにも誕生日っぽくていい感じだし。 彼にそう提案してみると、 「うん、分かった。予定空けておくよ」 という返事が返ってきた。これで、準備は万全。わくわくしながら日曜日を待った。 で、当日。 「それじゃ、行ってきますね。お昼は食べてきますんで」 そういって出かける時に、美晴さんが一言。 「はい。デート、楽しんできてくださいね」 思わず振り返ると、美晴さんがとても綺麗に笑って、手を振っていた。 「…行って、きます」 何となく、手を振り返して歩き出す。 だんだんと、早足に。 そのうちに走り出して、最後は全力疾走。 デート。デートか…。 「…そうね、そういうのも、いいかも」 空を見る。雲ひとつ無い快晴。何か、いいことが起こりそうだった。 彼と約束した待ち合わせの場所・村の外れにある彼の家から一番近いバス停には既に、 「お、やっと来たー。遅いよ、ケイ。三分ぐらい遅刻―」 「おはようございます、春雨先輩」 何故か、彼以外の人間が私を待っていた。 しかも、二人。 同じクラスの(と言っても、私達の小学校は、各学年に一つずつしかクラスがなかったりするのだけれど。歳が同じなら、中学校を卒業するまでずっと同じクラスで毎日過ごすというのは、よくよく考えると、凄いことのような気もする。よく分からないけれど)祭島可憐と、一つ下で可憐の妹・祭島詩歌ちゃん。全然似てないことで有名なこの二人が、どうしてそんな、いかにもこれから外出します的なファッションで彼との待ち合わせ場所にいるのか。 そして、何故彼はここにいないのか。 物凄く嫌な予感がしたけれど、このままだと話が進まないので、とりあえず訊いてみた。 「二人とも、これから街まで出かけるの?」 「出かけるのって、そんな余所余所しくしなくてもいいじゃん。今日は一日一緒に過ごすんだしさー」 「…いや、私、アンタ達と出かけるつもりなんて、これっぽっちもないんですけど?」 「え、なんで?誕生日のプレゼントを一緒に買いに行く約束じゃなかったっけ?」 「私が何時、アンタ達と一緒に行く約束なんてしたのよ!」 何だか、妙な事になっているようだった。 「お話の所失礼ですが、可憐相手ではいつまで経っても埒が明きませんので、私が変わりにご説明致します」 可憐の馬鹿に変わって、妹のほうが前に出てくる。 「あなたは先日、佐久良木積と一緒に二月七日・つまりは今日、彼の誕生日を祝うべく、プレゼントを買いに行く約束をした…合っていますか?」 「…まぁ、合ってるけど」 わたしの返事に一つ頷いて、続きを話し出す。 「その積ですが、昨夜から風邪で寝込んでいます」 「…マジですか?」 「本当です」 わざわざ正しく言い直される。 「積は、あなたとの約束を守れなくなる事を、とても気に病んでいました。そこで、可憐が代役として立候補したのですが、これ一人だけではとても不安でしたので、この私もお供させていただくことになりました」 「…はぁ、それはどうも…」 何となく、その場の空気に流されてお礼を言ってしまう。 「いえ、礼にはおよびません。何でも、お昼をご馳走していただけるそうで。御存知の通り、佐久良木家の台所事情はそれなりに逼迫していますので、こちらといたしても大層助かります」 「…はぁ、そうですか…って、何で私がアンタ達に奢らなきゃいけないのよ!」 「お、バス来たー。早く乗ろー」 そうこうしているうちにバスが来てしまい、二人はさっさと乗り込んでいく。 一人とり残された私に、運転手さんが一言、 「乗らないのかい?」 「…乗ります」 仕方が無く、バスに乗り込む。前の方の座席に座って、大きなため息を一つ。 全く、何でこんな事になったんだろう? 「ったく、何で折角の誕生日なのに、昼飯がハンバーガーなんだよー」 「文句があるなら食べなきゃいいでしょ…第一、今日はツミの誕生日であって、アンタは何の関係もないでしょうが」 「関係なくないよ。ウチは今日、つみの代理で来てるんだからさ。ほら、ウチをつみだと思って、心置きなく祝ってー」 「絶対にイヤ」 「うわ、冷たいなー。ケイって、見た目は可愛いんだからさ、もっと愛想よくすればいいのに。そんな風に怒ってると、男の子にモテないよー」 「…うるさい、余計なお世話よ。黙って食べてなさい」 「あー、はいはい。分かりましたよー」 そう言って、可憐の馬鹿は大きなハンバーガーに齧り付く。 祭島可憐。クラスメイト。去年、どこか遠くから引っ越してきた。妹の詩歌ちゃんと一緒に、村外れにある佐久良木家で一緒に暮らしている。両親は不在。事故か何かで亡くなって、親戚の佐久良木家に引き取られたという噂。第一印象・とても可愛らしい女の子。現在の印象・騒々しいだけの馬鹿。どんなことにもやる気なし。だから、成績も悪い。運動神経は結構いいらしいけれど、体育の授業も真面目に受けてないから、本当かどうかは分からない。 そんな可憐の隣で、静かにアップルパイを食べているのが、妹の祭島詩歌ちゃん。苗字は同じだけれど、見た目も中身も可憐とは全然違う。可憐が“可愛い”のに対して、こっちは純粋に“綺麗”。学年は私達より一つ下だけれど、背は可憐と同じぐらい。といっても、この子が大きいわけじゃなくて、可憐が小さいだけ。クラスで一番成績が良いって、前に聞いたことがある。ただ、学校ではほとんど喋らないらしいので、友達は少ないのだとか。仕事で忙しい佐久良木唯一の大人・加菜さん(まぁ、この人もあまり大人っぽくはない。個人的には好きだけど)の変わりに、佐久良木家の家事をこなしているらしく、よくウチの店にも買い物にやってくる。あまり喋ったことはないけれど、真面目な良い子、だと思う。 …こうして考えてみると、私はこの二人について、殆ど何も知らない。ある日、突然転校してきて、いつのまにかそこにいるのが当たり前のようになっている。 まさか、そんな二人と一緒に、彼の誕生日に出かけることになるなんて、思いもしなかった。 「…それにしても、プレゼントって、あんな安い本で良かったのかな…」 ここに来る前、バスを降りてすぐに、まずは彼の誕生日プレゼントを買いに、去年駅前にできた大きな本屋さんへ行った。彼が欲しがっていた本については、詩歌が彼から訊いてきてくれていたので、迷わずに探せて、私が代金を支払ったんだけれど、その本は五百円ぐらいの文庫本で、誕生日のプレゼントにしては、ちょっと味気無いような気がした。 いや、まぁ、個人的にはこのぐらいの値段がお財布には優しくて、正直助かるのだけれど、彼が気を利かせて、あまり高い物を欲しがらなかったんじゃないかと(あまり本を読まないから、高い本、というのがどれくらいの値段のものなのか分からないのだけれど)考えてしまう。彼とは、お互いに遠慮とかしなくてもいい関係でいたいんだけどな…。 「…きっと、積はとても喜ぶと思います」 店に入ってからずっと静かにしていた詩歌ちゃんが、テーブルの上のゴミをトレーの上に集めながらそう言った。 「…そう、かな?」 「はい、きっと、です」 こくこくと、何度も頷く。 あまり表情を変えないから、ちょっと接しづらい子だと思っていたけれど、本当は優しい子なのかもしれない。 「…そっか。うん、それなら安心」 自分で注文したハンバーガーの最後の一口を食べて、紙コップに入ったコーラを飲み干す。 「さて、それじゃ帰りましょうか。そろそろバスが来る時間だし」 そう言って席を立とうとすると、 「えー、まだ食べたり無いんだけどー」 約一名から抗議が。 「アンタ、まだ食べるつもりなの?」 「もっちろん。奢ってもらえる時には、少しでも多く食べないとねー」 「全く、アンタは…いいけど、もう時間ないわよ?」 「…あと、少しなら大丈夫でしょう」 詩歌が腕時計で時間を確かめて言う。 「おっけーおっけー。それじゃ、急いで買ってくるねー」 そう言って可憐は立ち上がり、新しく注文をしにカウンターへ向かっていった。 「…ったく、アイツにはいつか遠慮するってことを教えないとね…」 ため息を付きながら席につく、 「…さて、急ぎましょうか」 私の右手を掴んで、突然、詩歌ちゃんが走り出した! 「う、わ…ちょ、ちょっと、詩歌ちゃん?」 あっという間にお店を飛び出して、日曜の街中を駆けていく。 「ど、どうしたのよ、急に!」 「ここからでは、急がないと間に合いませんから」 「間に合わないって…な、何に?」 「バスです。これを逃すと、帰りが九時過ぎになってしまいますので」 「で、でもさっき、時間はまだあるって」 「あぁ、あれですか」 少しだけ走るスピードを落として振り向き、「あれは嘘です」 真顔でそう答える。 一瞬、何も考えられなくなった。…あぁ、頭の中が真っ白になるって、こういうことを言うのか…。 「…何で、嘘を?」 「春雨先輩も先ほど仰っていたではないですか。可憐に、他人への配慮を怠るとどんな目に遭うのか、教えるためですよ」 「…はい?」 「可憐は、実際に痛い目に遭わないと物事を学べない人間ですから。今回、春雨先輩の都合を考えることなく好きなだけ飲み食いしたことで、私達に置いていかれ、三人分の昼食代を払い、果てにはバスにも乗り遅れたとなれば、流石のアレも少しは懲りるでしょう」 「…いいのかな、そんなので」 「いいのです」 そう言うと、私の右手を強く握って、また一段と早く走り始める。私もクラスの女子の中では足が速いほうだけれど、詩歌ちゃんはもっと早く走れるみたいだった。妹がこれなのだから、可憐は実は運動神経がいいのでは、という噂が流れるのも納得できた。 走って、走って、何とか駅前のロータリーに到着。バス停にはもう、エンジンが掛かったバスが停車していた。もう、今にも出発しそう。 「ま、間に合ったー!」 息を切らして滑りこんで来た私達を、運転手さんが笑いながら出迎えてくれる。 「お嬢ちゃん達、間に合ってよかったね。もう発車する所だったよ」 「は、はぁ…どうも…」 息も絶え絶えで、返事をするのも辛かった。後から乗り込んだ詩歌ちゃんは、見た目ではそんなに疲れているようには見えない。本当に運動神経いいんだなぁ…。 私達が乗り込むと同時にバスがゆっくりと走り出す。息を整える為に、深呼吸をすると、小さな笑い声が聞こえた。見ると、朝、私が座っていた座席に、中学校の名前が入ったジャージ(私達が来年度から通うことになる中学校のモノ)を着た女の人が座っていた。見覚えのある顔…確か、一学年上の先輩。でも、名前が思い出せない。 「…あ、ごめんね、笑っちゃって。気、悪くした?」 「あ、いえ…別に、そんな…」 「私も別に、笑うつもりは無かったんだけどさ。君達が、とても楽しそうに見えてね。私も、ちょっと嬉しくなっちゃって」 そう言って、女の人は微笑んだ。 私達とそれほど歳は離れていないはずなのに、その笑顔が、何だかとても大人っぽくて、素敵に見えた。 「あ、はい…そう、ですか…」 かなり動揺しながら、通路を挟んだ反対側の席に座る。一つ前の席に、詩歌ちゃんも座った。 「君達は、今日は二人でお買い物だったのかな?」 「えーっと、まぁ、そんな所です…」 クラスメイトと一緒に誕生日を祝おうと思って意気揚々と出かけたら彼は風邪を引いて寝込んでいて何故か彼と一緒に暮らしているクラスメイトとその妹と一緒に出かけることになり誕生日プレゼントを買って昼食を摂っていたら突然妹が嘘をつき私をここまで引っ張ってきて私は昼食代を払わずに済み何とかバスに間に合った所なんです、という一連の流れを説明するには体力が足りなかったので、適当にお茶を濁す。 「ふーん、複雑な事情、か…いいね。そういうの、私は結構好きかな。何事もあまり明快に過ぎるのはよくない…ちょっとばかり複雑なのが丁度いい、ってね」 「…はぁ、そうですか」 何だか、結構風変わりな人みたいだった。 「君、確か今年で小学校卒業でしょ?」 「ええ、そうですけど…私のこと、知ってるんですか?」 「それは勿論。何て言ったって、春雨屋の看板娘さんだからね」 農協を除けば、村唯一の雑貨屋・春雨屋は、私が思っていた以上に有名なのかもしれなかった。まぁ、小さな村の事だから、当然なのかもしれないけど。 「それでさ、どの部活に入るかとか、もう決めてるのかな?」 「部活、ですか?…いえ、まだですけど」 「おぉ、そうなんだ。じゃあ、もし良かったらさ、」 そう言って女の人は、ごそごそと隣の席に置いてあったスポーツバッグの中身を漁り、中から一枚の紙を取り出す。 「はい、これ。うちの部の宣伝用チラシ。」 「はぁ、ありがとうございます…」 一応お礼を言って受け取る。チラシの真ん中には、大きな文字で、 『新入部員募集!バドミントン部』 と書いてあった。 「…あれ?中学校に、バドミントン部なんてあったっけ…?」 二学期に中学校で受けた入学説明会では、確か部活は野球部・剣道部・バレー部の三つしかなかったはず。 しかも、女子は野球部には入れないから、実際には剣道かバレーかの二択しかなくて、私はどっちも好きじゃないから、嫌だなー、と思った記憶がある。 もしかして、あれから新しく部活が出来たんだろうか? 「今はメンバー少なくて、あんまり大した活動できてないけどさ。来年度からは大々的に活動していく予定。そのチラシに詳しく書いてあるけど、今度三月に体験入部があるからさ。興味が沸いたら、お友達を連れて是非来てよ。歓迎するからさ」 「…はい、分かりました。都合が合えば、是非参加させてもらいます」 「うん。部員一同、心して待ってるよ…っと、いけない、もうこんな所まで来てた」 そう言って女の人は停車ボタンを押す。 『次、停まります』というお決まりのアナウンスが、バスの中に流れる。 「それじゃ、私はそろそろ降りるね。体験入部の時に、また会いましょう」 スポーツバッグを肩に掛けて、女の人はバスから降りていく。 「あ、はい、またその時に。えっと…」 「佐久良木夕輝」 「…え?」 バスのドアの所で振り向き、女の人がまた、綺麗に笑う。 「地方姓の佐久良木に、夕暮れに輝くで夕輝、だよ。今度会った時には、名前で呼んでくれると嬉しいかな、春雨継さん。それじゃ」 軽く手を上げて、女の人・佐久良木夕輝さんがバスから降りる。 バスが一度、大きく振動して、また走り出す。 「…綺麗な女の人でしたね」 「うん、そうだったね…」 夕輝さんがバスから降りた後、急にどっと疲れが出た。思えば、今日は随分と大変な一日だったような気がする。 「バドミントン部、か…」 手渡されたチラシをもう一度見る。体験入部は、入学式の数日前に行われるようだった。 (バドミントンって、羽子板みたいなスポーツだっけ…あれなら、剣道やバレーよりも楽に出来るかな…体験入部、彼も誘って行ってみようか…とにかく、今日は疲れた…着くまで寝よう…) 「…詩歌ちゃん、悪いんだけれど…」 「はい、何でしょう?」 「ちょっと、眠るから、着いたら、起こしてくれないかな…?」 「はい、分かりました。安心して眠ってください」 一瞬、私も可憐みたいに置いていかれるのでは?と疑ったけれど、もう何を考えるのも面倒だったので、そのまま窓にもたれて、寝ることにした。 眠る直前、窓の外、見慣れた筈の、夕暮れに染まる山道が、いつもより、とても綺麗に見えた。 その後、私はちゃんと詩歌ちゃんに起こされてバスを降り、一緒に佐久良木家へ行った。直接彼にプレゼントを渡したかったけれど、薬が効いてよく寝ていたので、枕元に置いて帰ってきた。「ありがとう」は聞けなかったけれど、それはまた、次のお楽しみに。 そういえば、すっかり置いてきぼりを食らった可憐は、結局十時過ぎに佐久良木家へ帰ってきたらしいけれど。 まぁ、それはどうでもいいか。
for文がイマイチ理解できない・・・。
単位落としたくはないので、何とかしないと。 22日締め切りの新風社文庫大賞に出す予定の原稿が、 まだ20枚しか書けていない現状。 100枚~なので、なんとかこの一週間で追い込む。 ブログ等で公開した作品でもいいらしいので、 区切りがつく度にここに上げていくことに。 誤字誤用の指摘してくれると大変ありがたかったり。
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